介護職員はどんどん研修に行って学ぼう。
特に明確な目標なんてなくて、入った介護業界。途中で精神科ソーシャルワーカーなんてものも経験して、結局介護の仕事を20年以上もやっている。
僕が主に経験してきた職場は、老人保健施設、精神科病院、精神科病院併設の社会復帰施設、居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)、認知症のグループホーム、通所リハビリ。
入所系、通所系の介護施設は経験があるが、訪問系の経験はない。だから訪問系の介護の実情についてはほとんど知らない。ただケアマネをやっている時にホームヘルパー事業所とのお付き合いはあった。
20数年、介護の仕事をやっていると、ぼんやりしている僕でも少しの気づきがある。今回は自分の備忘録としても、その気づきをまとめてみたい。
1、介護施設で仕事をしていると外の世界を知らない人になりがち、である
訪問系を除くと、基本、施設の中だけで働くことになる。入所者や利用者の介護で明け暮れる訳だが、ずっと施設の中だけで仕事をしていると、その施設のルールだけが全てと思うようになってしまう。
外部研修等を頻繁にやったり、仕事以外の世界を持っていれば新しいアイデアとか提案も湧いてきやすいのだが、そういったことがないと、とにかくルーティンだけをこなしていれば良いような雰囲気になる。
また、これは僕が痛感していることなのだが、介護だけの業界にいると「基本的な社会人としてのマナー」に欠けていたりする。僕は精神科病院に勤めて初めて名刺を作ってもらったのだが、その時まで名刺交換のやり方を知らなかった。電話の応対もろくにできなかった。違う業界の人と仕事で接することがほとんどなかったので、恥ずかしい話だが30歳になって、基本的なビジネスマナーというものを必死になって覚えた。
介護業界では入所者や利用者に対する「接遇マナー」の研修や勉強会を必ず行うが、僕は利用者の家族への話し方・説明の仕方の研修や、付き合いのある業者さんに対する電話のかけ方なんかも研修の内容に取り入れた面白いと思う。
介護職員の離職率は高くて、経験上4年おきに転職を繰り返している人が多いが、辞めた人が他の職場に行っても困らないように、「あの職場で学んだことが役にたった」と思えるように、取り組めたらと感じている。
とかく介護職は底辺の職業と言われているが、そういったイメージを払拭するためにも、また介護の仕事をしている人たちが自分の仕事に誇りを持つためにも、他の産業の方々から「介護の仕事をしている人たちは使えない」と感じさせることがないように、介護業界以外のことも勉強し、自分のスキルとして身につける必要がある。
2、教育体系が脆弱
これは僕が経験したことで書いているので、違う意見の方も多いと思う。大きな法人であれば、しっかりした教育を行っているところもあるだろう。
僕が最初に入職した老人保健施設では「新人教育」なんてものが存在していなかった。いきなり現場で「今からすぐ業務に入って。オムツ交換やって」という感じだった。そんなだからどの方法が良くてどの方法が悪いのかも分からず、我流で、しかも時間内に早く終わらせることが良い職員という雰囲気だった。入所者の快不快なんて無かった。入浴介助も午前中に40人、午後から20人を5〜6人の職員でやるのでまさに「芋の子洗い」だった。入所者とゆっくり話なんてしようものなら、ベテランおばちゃん職員から鋭い視線が容赦なく浴びせられた。
なんでも早く終わらせるのが良い職員、これがまかり通る。ベテラン職員がそれなりに蓄積してきたであろうノウハウも成功体験も語られることがなかった。マニュアルはあったが、それはただの資料だった。段階的に自分の仕事を振り返るようなシステムなんかも皆無。
随分前の話だから今ではその老人保健施設も変わっているかもしれない。
しかし、このような傾向はその老人保健施設だけにとどまらないと感じている。「人員が充分でない」ので、入職したらすぐ現場で業務、のところがほとんどである。
介護の仕事が全く初めて、という人にも容赦がない。しっかり教育を受けていない、自分でも勉強しない、こんな職員が新人に業務を教えることになると悲惨である。自分のやり方だけ教える、新人さんもそれを覚える、新人さんが中堅になって、新たに入職した新人に受け継いだやり方を教える。恐ろしいループである。
ビジネスマナーを含めて教育をしっかり行うこと、従事年数で区切った教育システムを作って実行すること、定期的に評価を行うこと、人員の穴埋めだけの昇進は止め、昇進試験を設けモティベーションのある職員を昇進させること。他の業界で当然のことで実施されていることが介護業界ではまだまだ行われていない。それだけ業界自体が未熟なんだと僕は感じている。
3、研修に行かせない事業所、行きたくない職員がいる
研修に行くのは僕は大好きだ。全く知らない人とお知り合いになれるし、新たなことが学べる。懇親会なんて最高だ。研修費で酒が飲める。まあ、研修報告書なんてものを書かなければならないが、新たに学んだことをまとめる良い作業になっている。
研修に行かせない事業所行きたくない職員が存在すること自体がもう終わっている。
研修に行かせない事業所、職員を研修に行かせると現場が人手不足になるから行かせないのだ。それだけ人員ギリギリで運営している、ということになる。またひどいところになると、「自分の休みで自分のお金で行くか、無料の研修に行きなさい」というところもあった。
ただ、考えてみると他産業のサラリーマンは仕事が終わって、自分の時間を使って自分のお金で勉強に行っている。そうしなければ生き残っていけないからだ。ルーティンだけをこなしていれば給料をもらえる、と考えている介護職員はそのうち淘汰される。
事業所が研修費を出さないのであれば、自分の金で行くべきだと僕は思うし、実際そうやってきた。出したお金以上のものを得られた。それはアイデアであったり、スキルであったり、人脈であったりする。自分の金で行けば報告書も書かなくて良い。ただ感じたことはどこかに記録しておいた方が後々役に立つ。
以上、今僕が思っていることを書き連ねたが、まだまだ書ききれていないので、それは後述することにする。
今回、書いていることは僕が勝手に書いていることなので、多くの介護の仕事をしている人たちの思いではないことをお断りしておきます。
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