キーンベック病体験記 その14「痛みとメンタル」
僕は左手だけではなく、右手もキーンベック病である。
両手ともキーンベック病という発症率はどれくらいなものなのだろうか?
以前、担当のDr.が、
「ちょっと前までは、両手ともキーンベック病というのは珍しくて学会に発表していたくらいなんですよ」
と話していた。
現在の両手キーンベック病の発症率は僕は知らない。でも珍しいのだとは思う。
仕方のないことから学べること
左手は抜釘術後、握力も回復してきているが、それでも20前後しかない。
右手も20以下に落ちている。
この病気になる前、少なくとも40代に入る前は握力が40以上はあった。介護で力仕事をしていたから腕の力も多少はあった。
しかし、今は車椅子の移乗の介助もトイレ介助もできない。現場では仕事が出来ない身体になってしまった。
仕方のないことだとは思う。
自分で防ぎようのない病気になってしまったことは、仕方のないことなのだ。
でも、仕方のないことから学べることや、逆にそれを活かせることを見出すこともできるんじゃないかと考えている。
右手の痛み
さて、左手も落ち着いてきたので、今度は右手の手術を考える時期になった。
右手の痛みもだんだんと増してきていて、使いすぎると猛烈に痛い。
特に細かい指先に力が必要な作業をやると、右手の握力が全くなくなる。
一度、自宅の洗濯機が汚れていたので、拭き掃除とドライバーを使った修理をやったが、終わった後は雑巾が全く絞れなかった。
水を飲もうとしてもペットボトルも持てなかった。
右手のレントゲンを撮り、Dr.の診察と手術の説明。
手術はもう3回目になるので説明も聞き慣れた。
Dr.、「もう痛みも限界に近いくらいかもしれませんねぇ」。
痛みとメンタル
痛みに慣れる、ということもあるのだろうか?
月状骨を中心に痛みが広がり右前腕から上腕、右肩、右脇まで痛くなる時がある。
手を使った作業が長続きできない。
痛み止めを飲むと和らぐ。そんなことの繰り返しだった。
痛みが増強するのは、これは僕だけの考えだが、メンタルにも繋がっている。
気持ちがひどく落ち込んだ時や不安が強い時などは痛みが増す。
無意識に「疾病利得」を得ようする自分の弱さ。
僕自身の中では、自分の弱さがこの病気を発症させたんじゃないか、と思う時もある。
術後の痛み、麻酔が切れた後の痛みを再度味わなければならないのか、と思うと憂鬱になる。
しかしながら、僕はこの痛みやキーンベック病という病がもたらしてくれた、気づかせてくれた
「自分の弱さと向き合う」
ことを、ぼくの財産にしていこうと思っている。
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