キーンベック病体験記 その16「嵐の前の静けさ」
入院2日目。
絶飲食でのどがカラカラになるが、歯磨きで誤魔化す。
9時過ぎにシャワーを浴び、10時頃から1発目の点滴。
手術の時間が近づくにつれ、点滴がいくつか追加される。
眠くなる点滴もあり、それに加えセルシン4錠飲むと今までと同じようにふらふらになった。
「い、痛いです」
点滴台を担当ナースが持って下さったが、眼鏡もかけられないので、
「すいません、ど近眼なもので」
とお詫びしながら手術台まで案内してもらった。
横になり、
「マスクあてまーす」
とあてられる。
前回はこの段階で夢の中だったが、今回はまだ眠らなかった。
すると、「首に注射しまーす」と聞こえた瞬間、
ブスリと猛烈な痛さ。
初回の手術で洗礼を受けた、あの猛烈な痛みを再度味わった。
模範患者のつもりでいたのですが、私の行いが悪かったのですね〜、
あぁ看護婦さん先生申し訳ございません、
病院食がマズイなんてもう二度といいませんからあああぁぁ〜!
首の次は脇の下にまたブスリ!
痛さで顔が歪んでいるんだろうな、と思っているところらへんで夢の世界へ。
たぶんオペ中、僕の顔はコロッケが真似している美川憲一ばりに顔が歪んでいただろう。
どれくらい夢の中にいただろうか?
右手のヒリヒリする痛さで目が覚めた。
Dr.が「痛い?」との声が聞こえた。
「い、痛いです」と必死に答えて、また夢の中へ。
嵐の前の静けさ
次に目が覚めた時は病室のベッドの上だった。
妻と息子がベッドの横にいてくれた。
右手はシーネがあてられ包帯でぐるぐる巻きにされている。
麻酔が効いていて感覚が全く無かった。
ここまでは予想通りというか初回の左手の手術と同じ。
しかし、手術よりも僕が一番恐れているのは、
麻酔が切れた後の地獄のような痛み。
夜にこれが襲ってくると思うと麻酔が効いているうちなんて、嵐の前の静けさにさえ感じてしまうのだ。
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