死を見て生を知る。

4年近く一緒に仕事をしていた同僚が亡くなった。

同僚と書いたが、時には部下で、時には良き飲み仲間だった。


その人は、2年ほど前に退職したのだが、退職間際に胃癌が見つかった。その少し前にその人は結婚したばかりだった。

闘病の間、メールでのやり取りを何度もした。その人は自分の病気の辛さは語らず、僕の心配をしてくれていた。

僕はずっと奇跡を願っていた。でも非情なことに奇跡は起きなかった。

亡くなった知らせを聞いた時、不思議と僕は冷静にしていた。でも何か静かに、船が錨を下ろすように、気持ちは海の底に落ちたようだった。

その人が亡くなる3日くらい前、僕はその人の夢を見た。ただただ笑顔で僕もなんだか幸せな気分だった。

何かの知らせだったのだろう。

お通夜に行き、その人の遺影を見た瞬間、涙が溢れた。

慟哭を隠すことができなかった。

御焼香の時、涙が溢れて良く前が見えなかった。悲しみで震えていた。

御焼香の後、ご導師の話があった。

「死を見て生を知る」

生きたくても生きられなかった今日、生きたくても生きられない明日。

当たり前に生きている日々。しかし、生きたくても生きられなかった人にとっては、当たり前ではないのだ。

その人の分までしっかり生きる。当たり前に感謝して生きる。普段を大事に、目の前にいる人はもしかして明日はいなくなるかもしれない。だから、日々を感謝し、人を大事に、その人の死をもって僕は大切なことを教えられた。

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