人間の尊厳を回復させるウェアラブル、排泄予知ウェアラブル「DFree」。
大人になってウンチを漏らしたことはない。漏らしそうになったことは何度もある。もうダメだ、とものすごい冷や汗をかきながら、尻をキュッとしめて、早足で歩いてなんとか自宅にたどり着き、トイレに駆け込み、ウンチをする安堵感。地獄から天国だ。
DFreeを開発した人はウンチを漏らした人だ。しかし、漏らしてもただでは起き上がらなかった。
排泄予知ウェアラブルを作ってしまったのである。
「うんこ・おしっこ予測装置」に込められた高邁な理想 (ダイヤモンド・オンライン) – Yahoo!ニュース
僕はウンチは漏らしたことはないが、オシッコは漏らしたことがある。ただしオムツの中に、だ。
介護の仕事を長くやっているので、実際にオムツをつけてみて排泄してみたら、どんな気持ちだろう、という勉強会があった。
で、僕も他の職員と一緒にオムツをつけてオシッコをしてみた。したみた、と書いたがなかなかできない。羞恥心とか「漏れないだろうか?」と心配してみたり、「臭いがしないだろうか」と思ってみたりで、やっぱり他人の目があるところではできなかった。トイレに行ってやっとオムツの中にオシッコをしてみた。
生暖かさとやっぱり変な気分。
漏れはしなかったが、少しベタベタしたような肌触りだった。
「やっぱりトイレでした方がいい」。オシッコでそう思うのだからウンチは言わずもがな、である。
その頃、僕が勤務していた施設では入所者のオムツ外しに取り組んでいた。
認知症(当時は痴呆と呼んでいたが)の入所者や寝たきりの人も多く、定時でオムツ交換をしていたが、職員にとっては本当に重労働だった。介護保険もまだ始まっていなかったので、いい加減なケアが多く、トイレに行ける人も職員の手をこれ以上煩わせないためだけに、オムツをつけられている入所者もいた。
しかし、そんな状況に疑問を呈する職員も多々おり、当時高まってきていたオムツ外しの気運もあり、ちょっと取り組んでみようか、ということになった。
PCなど無く、まだワープロの時代。カルテも全て紙ベースで各入所者の排泄をチェックするのも紙だった。
定時のオムツ交換で排泄の有無を見て、それまでの経験値も活かし、排泄のタイミングを少しずつ探っていった。
結果、多数ではなかったが、何人かの利用者のオムツ外しができ、何人かの利用者は夜間だけオムツ、という改善に導くことができた。
驚くべきことは、主観的ではあるが、オムツが外れると認知症状も改善が見られたことである。
ウンチ、オシッコはやはり人間の尊厳の根幹なのだ。
このことを考えると、DFreeは排泄予知ウェアラブルというだけではなく、「人間の尊厳を取り戻すウェアラブル」と言って良い。
介護の人材不足で箱はあっても人が足りず、十分なサービスを提供できていない現在の状況において、この「排泄予知ウェアラブルDFree」は、排泄支援という分野にとどまらない画期的なツールである。
DFreeが多くの介護事業所に採用され、多くの人がまたトイレで排泄できる喜びを感じられるようになることを強く願う。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません